あなたの子ですが、内緒で育てます
 力を使わないようにすることを学んだ自分と、学ばなかったロゼッテ。
 心の声を聞かないように、力を使わずにいることもできる。

「ジュスト。侍女を呼べ。これで、ロゼッテのそばに、侍女を置いても平気だろう」
「かしこまりました。こちらの部屋から、もっと明るい部屋に移しましょうか?」
「任せる」

 俺も変わったが、ジュストも変わった。
 剣だけでなく、子供の扱いがうまくなった。

「ロゼッテ様、失礼します」

 ジュストが、ロゼッテを抱きかかえて外に出る。
 
「明るい……」
「外は明るいですよ」

 安心感からか、ロゼッテは涙をぽろぽろこぼした。

「ルチアノに会いたい……。会って、嘘ついてごめんねって言いたい……」
「ルチアノ様もロゼッテ様に、お会いしたいと言っていました。まずは、身だしなみを整え、食事を済ませてからにしましょう」
「わたしのこと、ルチアノ、嫌いになってない? お母様が、ルチアノたちを殺そうとしたから……」
「それも全部、忘れていいんですよ。ザカリア様がすべて引き受けるとおっしゃられた。だから、今はもう昔とは違うロゼッテ様です」
「……うん」

 ジュストはロゼッテの涙をぬぐう。
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