あなたの子ですが、内緒で育てます
 ルチアノは力を使ったらしく、私に教えてくれた。

「そう……。デルフィーナは罪を償うために、自分から戻ってきたのね」

 ロゼッテのためにも、これ以上、罪を重ねてほしくなかった。
 母親が捕らえられたところを目にしてしまったロゼッテ。
 口には出さないけれど、傷ついているはずだ。

「お母様、見に行く?」
「ええ。ルチアノはここにいてね」
「えっー! お母様を守るって言ったのに!」
「駄目よ」

 侍女を呼び、ルチアノを監視してもらい、その場から離れた。
 不満そうにしていたけど、安全な場所にいてほしい。
 デルフィーナの元へ急ぐ。

「戻ってきた理由は?」
「罪を償うため、戻って参りました」

 ザカリア様とデルフィーナの声が聞こえてきた。
 やっと姿を見ることができた時、デルフィーナはザカリア様たちの前に跪き、頭を垂れていた。

「そうか」

 ザカリア様とジュストは警戒していたけれど、デルフィーナの気持ちを知り、わずかに緊張を緩めた。
 私もホッとしていた。
 ロゼッテが、ルドヴィク様が拒み、デルフィーナが逃げたと知れば、どれだけ傷つくか。
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