あなたの子ですが、内緒で育てます
 自問自答している間にも、俺の大事にしていた絵画が壁から外され、自分たちが描いた変な絵を飾る。
 そして、階段に水を流し、自慢の絨毯は水を吸って色を変えた。
 なぜ、ここまでの暴虐が許されるんだ?

「子供は元気が一番ですね。今日も楽しそうでなによりです」
「まさか、これが毎日!?」
「はい(王宮では、ここまで凄まじくありませんが)」
「く……これが、毎日か。冗談ではないぞ」

 厨房から鍋を持って来て、ガンガン叩いたり、柱に落書きを始めたあたりで俺の限界は超えた。 

「王宮へ帰れ! 帰れっ!」
「えっ!? もう? まだ遊びたいのに……」

 まだ暴れるつもりなのか、ルチアノは俺を脅してきた。

「そうだ! ぼくに王位をくれるなら、おとなしく帰るよ!」

 なんて恐ろしいガキ……いや、子供だ。
 この年齢で王位を奪おうとするなど、考えられない。

「駄目だ! 帰れ! ジュスト! 早く連れて帰れ!」
「構いませんが、本当によろしいのですか? せっかく子供たちが遊びにきたのに、まだ半日も経ってませんよ」
「半日もいたら、離宮がなくなるわっ!」
< 173 / 190 >

この作品をシェア

pagetop