あなたの子ですが、内緒で育てます
 俺より子供の扱い慣れており、子供たちもジュストを信頼しているのがわかる。
 父である俺以上に……

「では、失礼します」

 ジュストは子供たちを連れ、出ていった。
 子供たちが去り、荒れ果てた離宮の中は、やけに静かに感じた。

「復縁したら、こんな毎日が続くかと思うと、ゾッとするな。まあ、いい。子供はセレーネに任せよう」

 侍女たちに部屋を片付けさせ、侍従に上着を持ってこさせた。
 インクやら、水やらがハネた上着を着替え、髪を整える。
 ようやく自分の時間だ。

「さて、ワインでも飲むか」

 ワインが並ぶ棚の前に立つ。
 棚にはワインの瓶が並んでいた。
 一本はセレーネと結婚した年のもの、もう一本はデルフィーナと結婚した年のもの。
 選ぶのはもちろん、セレーネと結婚した年のものだ。

「セレーネが、俺の妃だ」

 瓶を手に取り、ワイングラスにワインを注ぐ。
 口にすると、ほどよい酸味と微かな苦味を感じた。
 喉が乾いていたせいもあり、ワインをどんどん飲んでいく。
 ワインをすべて飲み干し、ひと息ついた。

「俺が王だ。誰にも、この地位を奪わせんぞ」

 酒には強い方なのだが、なぜか、眠くなってきた。
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