私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
陣川家に気をつかったのと、千愛さんの音大受験が控えているためだったけれど、知久が小さなお祝いパーティーだけでもやろうと言って開くことになった。
知久が言ってくれなかったら、きっとパーティーはできなかったと思う。
渋木の家はまだ二人の結婚を完全に認めているわけではなかった。
今の唯冬は勘当状態で、渋木の家の出入りを止められている。
唯冬はまったく気にしていないけどね……
「小百里さーん! 今日はお招きありがとう」
赤い薔薇の花を私に手渡した。
なぜ、私に花束を?
両手いっぱいの赤い薔薇の花を私に渡すと、知久は意味もなくウインクした。
「パーティーに招いたのは唯冬で、今日の私はスタッフよ。この花束はいったいなに?」
「薔薇好きだよね?」
「え? そうね。嫌いではないわね」
「それならよかった」
知久は機嫌よく、私の手の甲にキスをして、軽やかに唯冬達の方へ行ってしまった。
お祝いの言葉を言っているのが聞こえた。
なんなの、いったい。
「知久みたいにしたら喜ばれるのかな」
ぼそりと呟いた声はチェロを担いでやってきた逢生君だった。
「悪いお手本だから気を付けて」
「でも、知久は女の人に人気がある」
真剣な顔で逢生君は言った。
これは悪い影響ね。
知久が言ってくれなかったら、きっとパーティーはできなかったと思う。
渋木の家はまだ二人の結婚を完全に認めているわけではなかった。
今の唯冬は勘当状態で、渋木の家の出入りを止められている。
唯冬はまったく気にしていないけどね……
「小百里さーん! 今日はお招きありがとう」
赤い薔薇の花を私に手渡した。
なぜ、私に花束を?
両手いっぱいの赤い薔薇の花を私に渡すと、知久は意味もなくウインクした。
「パーティーに招いたのは唯冬で、今日の私はスタッフよ。この花束はいったいなに?」
「薔薇好きだよね?」
「え? そうね。嫌いではないわね」
「それならよかった」
知久は機嫌よく、私の手の甲にキスをして、軽やかに唯冬達の方へ行ってしまった。
お祝いの言葉を言っているのが聞こえた。
なんなの、いったい。
「知久みたいにしたら喜ばれるのかな」
ぼそりと呟いた声はチェロを担いでやってきた逢生君だった。
「悪いお手本だから気を付けて」
「でも、知久は女の人に人気がある」
真剣な顔で逢生君は言った。
これは悪い影響ね。