私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
穂風に言えば楽になるだろうか。
そう思って口を開いた瞬間、店のドアが開いた。
開店前で、バイトの望未ちゃんがやってくるにしては早すぎる。
「毬衣さん」
真っ赤なコートに胸元が開いた黒のワンピーススーツ、濃い化粧に切り揃えた髪。
そして、きつい香りの香水が店内に漂う優しいハーブの香りを消した。
「小百里。今から私、行くところがあるんだけど、どこだと思う?」
いつもより、気合いが入った服装だった。
私と穂風はわからず、当然答えられなかった。
「陣川家に呼ばれたの。とうとう結婚の話よ!唯冬が婚約を解消してくれたおかげで、私の話が進んだの」
毬衣さんは勝ち誇った表情を浮かべ、赤い唇の端をあげた。お正月の集まりに陣川家から誰も来ていなかった時から、二人の結婚が早まることをなんとなく察していた。
「知久君が毬衣と結婚するとは思えないけど? 何かの間違いじゃない?」
穂風は苦笑し、そう言ったけど、毬衣さんは確信していた。
「陣川家に両親も呼ばれたから、間違いじゃないわよ」
ふんっと毬衣さんは穂風を鼻先で笑い飛ばした。
「結局、結婚は家と家が決めるのよ。小百里の相手が笙司さんなんてかわいそう。あの人、もう資産をいくつか手放したらしいじゃない?」
「そうなの?」
そう思って口を開いた瞬間、店のドアが開いた。
開店前で、バイトの望未ちゃんがやってくるにしては早すぎる。
「毬衣さん」
真っ赤なコートに胸元が開いた黒のワンピーススーツ、濃い化粧に切り揃えた髪。
そして、きつい香りの香水が店内に漂う優しいハーブの香りを消した。
「小百里。今から私、行くところがあるんだけど、どこだと思う?」
いつもより、気合いが入った服装だった。
私と穂風はわからず、当然答えられなかった。
「陣川家に呼ばれたの。とうとう結婚の話よ!唯冬が婚約を解消してくれたおかげで、私の話が進んだの」
毬衣さんは勝ち誇った表情を浮かべ、赤い唇の端をあげた。お正月の集まりに陣川家から誰も来ていなかった時から、二人の結婚が早まることをなんとなく察していた。
「知久君が毬衣と結婚するとは思えないけど? 何かの間違いじゃない?」
穂風は苦笑し、そう言ったけど、毬衣さんは確信していた。
「陣川家に両親も呼ばれたから、間違いじゃないわよ」
ふんっと毬衣さんは穂風を鼻先で笑い飛ばした。
「結局、結婚は家と家が決めるのよ。小百里の相手が笙司さんなんてかわいそう。あの人、もう資産をいくつか手放したらしいじゃない?」
「そうなの?」