私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
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私が渋木の家にやってきた季節―――冬がやってきて、カフェ『音の葉』にもいくつか変化があった。
春に入った望未ちゃんは体当たりで恋愛していた相手と結婚し、ドイツで暮らすことになり、新しいバイトを募集し始めた。
それから、定期的にミニコンサートも開くようになった。
そのおかげか、生演奏が聴けるカフェとしてお客様も増えて経営は順調。
私と知久はというと―――
「だからって俺との結婚式を延ばすなんてさ」
知久はコーヒーを飲みながら、私に絡んできた。
「仕方ないでしょ。望未ちゃんの代わりの人が入らないと休めないもの」
だいたい知久が悪い。
新婚旅行は一週間程度でいいと思うわ、と私が言ったのにバカンスは二週間必要だなんて言い出したから。
カフェを二週間も休めるわけがない。
というより、せっかくお客様が通ってくださっているのに二週間も休みたくないというのが、本音。
穂風は知久にアーモンドたっぷりのビスコッティを出してあげていた。
「残念だったね、知久君。けど、菱水音大には募集してあるから、そう遠くない話だと思うよ。それに知久君達のスケジュールに合わせると来年春しか、結婚式ができないって言ってなかった?」
「そうなんだよねー。俺も売れっ子だから」
春に入った望未ちゃんは体当たりで恋愛していた相手と結婚し、ドイツで暮らすことになり、新しいバイトを募集し始めた。
それから、定期的にミニコンサートも開くようになった。
そのおかげか、生演奏が聴けるカフェとしてお客様も増えて経営は順調。
私と知久はというと―――
「だからって俺との結婚式を延ばすなんてさ」
知久はコーヒーを飲みながら、私に絡んできた。
「仕方ないでしょ。望未ちゃんの代わりの人が入らないと休めないもの」
だいたい知久が悪い。
新婚旅行は一週間程度でいいと思うわ、と私が言ったのにバカンスは二週間必要だなんて言い出したから。
カフェを二週間も休めるわけがない。
というより、せっかくお客様が通ってくださっているのに二週間も休みたくないというのが、本音。
穂風は知久にアーモンドたっぷりのビスコッティを出してあげていた。
「残念だったね、知久君。けど、菱水音大には募集してあるから、そう遠くない話だと思うよ。それに知久君達のスケジュールに合わせると来年春しか、結婚式ができないって言ってなかった?」
「そうなんだよねー。俺も売れっ子だから」