私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
「小百里は俺が見ていることに気づいていた」
笑みを消して、私に近づく。
「そうね」
踏み出された足を止めることはない。
視線も、感情も真っ直ぐ私に向かってくる。
その手には知久がクロークで受け取った私のコートを手にしていた。
最初から、知久は笙司さんと行かせるつもりなんてなかった。
コートを戦利品のようにして、私の手に渡さず、知久は控え室のドアを開けると、私を部屋に入れた。
「小百里」
鍵の音と同時に知久は唇を重ねた。
激しいキスにせっかくセットした前髪がはらりと落ちて頬に触れた。
知久の髪、指、唇―――そして、あなたの香りが私の感覚を支配していく。
キスに耐えれず、私の指が知久のシャツをきつく握りしめ、皺ができてしまっても知久は気にせず、飢えた獣のように私を求めた。
「知久……だ、め」
私から先に唇を離すと、笑って知久は言った。
「まだだよ」
目を細め、喰らうようなキスをする。
隅々まで舐めとり、舌がなぞる。
「……っ」
息を乱し、足に力が入らなくなるまで、繰り返す。
崩れ落ちた瞬間、手で体を支えると、知久は私の耳元で満足げに囁いた。
「これは罰だよ」
それはまるで悪魔の囁き。
耳朶を舌がなぞられ、知久の胸を手で押した。
「やめて……」
笑みを消して、私に近づく。
「そうね」
踏み出された足を止めることはない。
視線も、感情も真っ直ぐ私に向かってくる。
その手には知久がクロークで受け取った私のコートを手にしていた。
最初から、知久は笙司さんと行かせるつもりなんてなかった。
コートを戦利品のようにして、私の手に渡さず、知久は控え室のドアを開けると、私を部屋に入れた。
「小百里」
鍵の音と同時に知久は唇を重ねた。
激しいキスにせっかくセットした前髪がはらりと落ちて頬に触れた。
知久の髪、指、唇―――そして、あなたの香りが私の感覚を支配していく。
キスに耐えれず、私の指が知久のシャツをきつく握りしめ、皺ができてしまっても知久は気にせず、飢えた獣のように私を求めた。
「知久……だ、め」
私から先に唇を離すと、笑って知久は言った。
「まだだよ」
目を細め、喰らうようなキスをする。
隅々まで舐めとり、舌がなぞる。
「……っ」
息を乱し、足に力が入らなくなるまで、繰り返す。
崩れ落ちた瞬間、手で体を支えると、知久は私の耳元で満足げに囁いた。
「これは罰だよ」
それはまるで悪魔の囁き。
耳朶を舌がなぞられ、知久の胸を手で押した。
「やめて……」