私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
「そう。それなら、渋木の娘にふさわしい教育を受けることね。もちろん、学校も私の娘と同じ学校に通わせなさい」
「学校は高校の受験があるので、卒業までは今の学校に通うつもりです。あと一年もありませんし、転校なんて……」
私が最後まで言い終わる前に章江さんの振り上げた手が、私の頬を叩いた。
パンッと乾いた音が鳴って、なにが起きたか全員、理解するまで時間がかかった。
皮肉にも自分の頬の痛みで、私が一番早く理解したと思う。
「姉さん!」
「伯母さん。暴力は……!」
黙って聞いていた唯冬が前に出る。
細身の唯冬に迫力はなかったけど、伯母が私に手をあげられなくなったことは確かだった。
唯冬の鋭い目に伯母がわずかに怯んだ。
「渋木のトップである父が認めているんです。伯母さんに思うところがあったとしても、姉さんが渋木の家で暮らすことは決まったことですよ」
庇った唯冬を笑う高い声がして、その声のほうを向くと、章江さんの娘である毬衣さんがいた。
「唯冬さん。その子はあなたの父親を奪ったのよ? わかってるの?」
唯冬よりひとつ上の私。
年齢から考えて、先に付き合っていたのは私の母のほうで、奪われたのは―――それに唯冬も気づいている。
結婚を認めてもらえなかったのは私の母だと。
「学校は高校の受験があるので、卒業までは今の学校に通うつもりです。あと一年もありませんし、転校なんて……」
私が最後まで言い終わる前に章江さんの振り上げた手が、私の頬を叩いた。
パンッと乾いた音が鳴って、なにが起きたか全員、理解するまで時間がかかった。
皮肉にも自分の頬の痛みで、私が一番早く理解したと思う。
「姉さん!」
「伯母さん。暴力は……!」
黙って聞いていた唯冬が前に出る。
細身の唯冬に迫力はなかったけど、伯母が私に手をあげられなくなったことは確かだった。
唯冬の鋭い目に伯母がわずかに怯んだ。
「渋木のトップである父が認めているんです。伯母さんに思うところがあったとしても、姉さんが渋木の家で暮らすことは決まったことですよ」
庇った唯冬を笑う高い声がして、その声のほうを向くと、章江さんの娘である毬衣さんがいた。
「唯冬さん。その子はあなたの父親を奪ったのよ? わかってるの?」
唯冬よりひとつ上の私。
年齢から考えて、先に付き合っていたのは私の母のほうで、奪われたのは―――それに唯冬も気づいている。
結婚を認めてもらえなかったのは私の母だと。