第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「でも、もう一緒に寝てない。だったら、俺たち……何のために結婚したんだろうね。」

淡々としたその声が、余計に痛かった。

そのとき、私はようやく気づいたのだ。

この人は王子でありながら――誰よりも、愛に飢えている。

その夜、私は兄にそっと尋ねた。

「……結婚したら、一緒に寝るのが普通なの?」

兄は少し驚いたように私を見てから、静かに答えた。

「うん。子供も作らないといけないからね。」

「子供のために……仕方なく?」

そう呟いた自分の言葉に、胸が少しだけ痛んだ。

誰かと夜を過ごすというのは、そんな風に決められたものなの?

兄は苦笑しながら、私の頭を優しく撫でた。

「そんなことないよ。好きな人と一緒にいたいって、自然にそう思うもんだ。」

「……そっか」

「でも、夜を共にできないってことは、男としては――受け入れられてないって感じるんだ。自信、なくすよ。」

兄の声は穏やかだったけれど、どこかリアルで、胸に残る。

「まあ……あの二人は政略結婚なんだろうけどな。」

政略結婚。

愛がなくても結ばれる――それが、王族の現実。

私は無意識に、胸の奥をきゅっと押さえていた。
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