第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「綺麗な空だね。」

「は、はい!」

ぎこちなく返事をすると、彼がくすりと笑った。

「まだ緊張してるの?」

その声が、少しだけ優しくて――

私は、心のどこかがふわりとほどけていくのを感じていた。

するとアシュレイ殿下が、ふと窓の方に視線を向けた。

その先――宮殿の上階の廊下に、一人の女性が立っていた。美しい金髪、端正な顔立ち。

「もしかして……お妃様?」

「……ああ。カトリーナ!」

殿下がその名を口にしたと同時に、彼女は何も言わず、こちらに目もくれずに背を向けて去っていった。

「仲、悪いんですか?」

そう聞いた瞬間、自分の無礼さに気づき、私は慌てて口を押さえた。

「はっきり言うね。」

「す、すみません……!」

謝る私を見て、殿下はふっと笑った。

「俺、嫌われてるのかな。」

「そんな……」

思わず言葉が出る。彼は、ただ彼女に優しさを向けたかっただけなのに。
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