第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
あの夜、「もう一緒に寝ていない」と寂しげに語った彼の顔が、ふいに胸に蘇った。

――じゃあ、これは何?

目の奥が熱くなる。

私はただ、木陰に身を隠したまま、動けずにいた。

すると――アシュレイ殿下は、カトリーナ妃にそっと口づけをした。

(きゅーん……!)

胸が鳴る。

私も、あんなふうに抱き寄せられて、唇を奪われたい――

そんなことを思ってしまった自分に、頬が熱くなる。

「カトリーナ。そろそろ……子どもが欲しい。」

柔らかな声に、どこか切実な願いが込められていた。
けれど――

「すみません。夜伽が……苦手なんです。」

カトリーナ妃はわずかに顔を伏せ、苦しそうに目をそらした。

「えっ……」

「欲情の……はけ口にされてるようで……嫌なんです。」

殿下の瞳に、驚きと痛みが浮かぶ。

「そんなこと、ない。俺は……君がっ……!」

言葉を絞り出すようにして、彼はカトリーナ妃を後ろからぎゅっと抱きしめた。
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