第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「君が……あまりにも美しくて……欲しくてたまらないんだよ。」

アシュレイ殿下の声は震えていた。

どこか哀願にも似た響きが、耳に残る。

「アシュレイ……」

カトリーナ妃の声が揺れる。

「君に受け入れてもらいたい。それが……俺の希望になるんだ。」

まるで、結婚しているのに――片想いをしているみたいだった。

その真っ直ぐな想いが切なくて、胸が締めつけられる。

けれど、カトリーナ妃はそっと、殿下の腕を引き離した。

「……ごめんなさい。」

「え?」

「どうしても……あの、吐息が……」

顔を背ける彼女の頬が、かすかに震えていた。

「自分が、淫らな女になるのが……嫌なんです。私は、高潔でいたいの。」

静かに、けれどはっきりと告げられた言葉に、殿下は何も言えなくなった。

その場に残されたのは、深く沈黙するアシュレイの背中だけだった。

――こんなに想われているのに、届かない。
< 14 / 103 >

この作品をシェア

pagetop