第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「好きな人は?」

不意に向けられた問いに、心臓がどくんと跳ねた。

答えようとした瞬間――

あのエメラルドの瞳が、ふいに胸の奥で揺れた。

「……側にいたい人は?」

殿下の声は静かで、優しくて。

私は、自分でも気づかないまま口を開いていた。

「……綺麗な人です。」

「美男子ってやつか。」

少し笑った殿下の声に、なぜか胸がくすぐったくなる。

「剣を持つところが……カッコいいんです。」

「なんだ、騎士か?」

冗談めいた口調。けれど私は、彼の横顔をじっと見つめながら、心の中で呟いた。

(いいえ、あなたのことです。)

言いたくて、でも言えなくて。

唇を噛みしめながら、自分の鼓動の速さに戸惑っていた。

――あれ?

私、いま……アシュレイ殿下に、恋をしてる?

気づいた瞬間、胸の奥が、甘くも苦しくきゅっと締めつけられた。

もう、後戻りなんてできない。

そう直感した。
< 16 / 103 >

この作品をシェア

pagetop