第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
出陣を翌日に控え、騎士団の決起会が城の広間で開かれた。

杯が交わされ、笑い声が飛び交う中、私は少し緊張しながら席に着いていた。

「リリアーナ。俺の側から離れるなよ。」

ビールを片手にカイが笑いかけてくる。

「いいや、俺の側だね。」

ルークが私の肩をぽんっと掴み、にやりと笑った。

二人の明るい冗談に場が和んだ。

けれど私は、どちらにも笑い返すことができなかった。

だって――私が一緒にいたいのは、誰でもない。

そっと視線を送る。

広間の奥、静かにワインを傾けているアシュレイ殿下の横顔。

その美しい横顔に、私の胸がまた痛くなる。

(結局……好きになっても、片想いなんだ。)

皇子と騎士の妹――届かない距離。

想うだけで満たされるわけじゃない。

でも、それでもいい。たとえこの想いが実らなくても――

(せめて……この戦で、あなたの力になりたい。)

私の恋心は、静かに、深く、覚悟へと変わっていった。
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