第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
酔いが回り、火照った頬を冷ますために私は外へ出た。

夜風が心地よく、小川のせせらぎが静かに耳をくすぐる。

髪をほどいて、水でそっと濡らす。

戦地では、こんなことにも慣れておかないと――そんな気持ちで。

「お嬢さん。そんなことしてたら危ないよ。」

不意に背後から声がして、びくりと振り向く。

「えっ……!」

月明かりに照らされたその顔。

アシュレイ殿下――だった。

「……リリアーナだったの?」

「誰だと思ったんですか!」

思わず語気が強くなる。

もしかして……奥さんに相手にされないから、他の女に声をかけてたりして?

あり得る……いや、でもそんなことしてほしくない――!

自分でもわけのわからない感情が胸を締めつけた。

「……すみません、少し頭を冷やしたくて。」

そう言いながらも、私は水に濡れた髪を手で絞る。

「美しい髪だ。」

ふいに、アシュレイ殿下の声が耳に届いた。

私は驚いて彼を見つめる。

「まるで絹のようだよ。」
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