第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している

第3部 戦の前夜

そして出発の日がやってきた。

私は馬にまたがり、腰に剣を帯びた。

配置は兄・ダリウスのすぐ後ろ。

その視線の先には――アシュレイ殿下の背中。

(この背中を、私は守りたい。)

そんな想いを噛み締める中、アシュレイ殿下の号令が響いた。

「では――出発!」

「おおっ!」

騎士たちの声が重なり、馬蹄の音が宮殿の石畳を打ち鳴らす。

その瞬間、兄と殿下が何かを言葉を交わし始めた。

「殿下、後ろに。」

兄の声に、アシュレイ殿下が振り返る。

私もつられるように後ろを見ると――

そこには、美しく着飾ったカトリーナ妃が立っていた。

優雅な姿に、騎士たちの動きが一瞬止まる。

アシュレイ殿下が静かに腕を上げる。

「……ご無事の帰還を、お待ちしております!」

カトリーナ妃の声が、透き通るように響いた。

その言葉は――殿下に届いたのだろうか。

私はそっと視線を戻し、前を向いた。

胸の奥で何かが、静かに軋む音を立てた。
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