第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
北方に着くと、私たちは広場にテントを張った。

風が冷たく、草の匂いに土の湿気が混じっていた。

私は兄・ダリウスと同じテントに入ることになった。

だから自然と――近くにアシュレイ殿下がいる。

「このポイントに着いたら、一気に攻め込みます。」

テントの中、地図を前にした殿下の横顔。

冷静で、的確で、そして――勇ましい。

「……ああ。」

低く応える声に、私は胸をときめかせながら耳を傾けていた。

(戦いの話をしてるのに……どうしてこんなにカッコいいの。)

そんなふうに見つめていると、兄がふいに立ち上がった。

「そろそろ寝ようか。」

「えっ、もう?」

「明日が総攻撃だからな。寝不足になるなよ。」

そう言いながら、兄は私の頭をやさしく撫でた。

そのぬくもりが、妙に心に染みる。

――明日、命を懸けて戦う。

それが現実なのだと、あらためて胸に迫ってきた。
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