第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
私はそっと、テントの入り口を見つめた。

「行って来い。」

低く、でもどこか優しい声が聞こえた。

「お兄ちゃん……」

「ため息ばっかりで、うるさい。」

兄は寝返りを打ち、背を向けながらぽつりと呟く。

「たぶん、アシュレイ殿下も同じ思いだ。」

「……えっ?」

「男はな。案外、寂しがり屋なんだよ。」

その言葉に、心がぎゅっと掴まれた。

私は迷いながら起き上がる。

「……迷惑じゃない?」

「顔見るくらいなら、許してもらえるだろう。」

兄の言葉に、胸の奥が温かくなった。

「……ありがとう。」

そっと呟いて、私はテントを抜け出した。

夜風が肌を撫で、草の香りがかすかに漂う。

中央に構える大きなテント――あそこに、アシュレイ殿下がいる。

灯りがほのかに漏れていた。

私は手を握りしめ、そっとその灯りに向かって歩き出した。

まるで、恋に身を投じる覚悟を胸に秘めるように。
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