第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
テントを抜けると、月明かりの下に誰かの影が立っていた。

「……ルーク?」

声をかけると、彼は少し気まずそうに笑った。

「ごめん。顔……見たくてさ。」

その言葉に、胸がざわつく。

まさか――と思った瞬間、ルークが一歩近づいた。

「明日は、俺が……守るから。」

静かな決意と共に、私の肩に手が置かれる。

「……キスしても、いい?」

瞬間、心臓が跳ねた。

けれど――私は、そっと顔を背けた。

「ごめん……」

「ははっ! そうだよな。なんか、わかってたよ。」

ルークは手を引き、ふっと笑った。

その笑顔が、どこか痛々しく見えた。

「……好きな人がいるんだ」

私が小さく呟くと、彼はほんの少しだけ眉を上げた。

「それって――アシュレイ殿下?」

(バレた……)

言葉にはできなかったけれど、私の沈黙がすべてを語っていた。
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