第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
低く、かすれるような声。

その響きだけで、胸が震えた。

「……顔だけ?」

アシュレイ殿下が私の髪に触れながら、囁く。

「その声も……」

「声も?」

彼の瞳が、静かに潤んでいた。

深くて、やわらかくて――すべてを見透かすような眼差し。

「……キスも。」

そう言った瞬間、彼の唇が私の唇にそっと重なった。

甘く、静かな口づけ。

それはまるで、戦の音さえ遠ざける魔法のようだった。

「本当はね。戦の前に女を抱くのは、禁忌なんだよ。」

「えっ……!」

私は驚いて、思わず身を引こうとした。

「私……ごめんなさい。」

けれどアシュレイ殿下は、私の手を離さなかった。

「いいんだよ。たしかに、女を抱くと戦意を失うって言われる。だけど……」

彼は、静かに微笑んだ。

「リリアーナといると……勝ちたいって、思えるんだ。」

その言葉が、私の胸を深く、強く、満たしていった。
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