第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
私の想いは――この人に、きっと届いている。

だから私は、はっきりと口にした。

「……好きです。」

胸が張り裂けそうだった。でも、言わなければ後悔すると思った。

「明日、死ぬかもしれないって思ったら……伝えないとって。」

その瞬間、アシュレイ殿下は私を力強く、優しく抱きしめた。

「それを言うなら――俺の方こそ、リリアーナに惹かれてる。」

彼の胸元に顔を埋めると、鼓動が静かに、でも確かに響いてきた。

(この音を、忘れたくない。)

「……今夜は、リリアーナを抱いて眠りたい。」

その囁きに、身体が熱くなる。

「殿下……」

見上げると、彼が微笑んだ。

「今夜だけは、“アシュレイ”って呼んで。」

たった一夜かもしれない。けれどこの夜だけは、何もかもを――許される気がした。

私は小さく頷いて、震える唇で彼の名を呼んだ。

「……アシュレイ。」

その名が、恋として私の中に確かに灯った。
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