第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
廊下を抜け、重たい扉の前で一度深呼吸をした。

そしてノックも忘れて、静かに中へ足を踏み入れた。

そこには、蝋燭の灯りに照らされたアシュレイ殿下がいた。

振り向いた彼が、ふっと微笑む。

「リリアーナ。」

その声音に、胸が震える。

その笑顔は、ヴィレンの秘宝――

いいえ、私の世界でいちばん、美しい宝石。

私は宝石を手に入れたの? それとも、夢?

言葉が出ないまま、私はそっとベッドの端に座った。

「これはまた、綺麗な格好で来たね。」

アシュレイが隣に座り、私のほどいた髪に指を通す。

丁寧に、撫でるように、何度も。

「ほどいた髪も……柔らかくて、好きだ。」

たったそれだけで、胸の奥が熱くなる。

私はうつむいて、小さく呟いた。

「私……綺麗に見えますか?」

アシュレイは何も言わずに、そっと私の頬に手を添えた。

「綺麗? ううん、美しいよ。」
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