第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
かすれるような声でそう言った彼の額に、私はそっと手を伸ばし、汗を拭った。

「一緒に、気持ちよくなりたい。」

私のその言葉に、アシュレイの瞳が細められる。

そして、そっと唇を重ねてくる。

今度は、深く――求めるようなキスだった。

「ありがとう……リリアーナ。」

彼の手が、私の腰を包み、

重なる身体のあいだに、確かな熱が生まれていく。

心も、体も、ひとつに溶け合う――

この夜を境に、私たちはただの“皇子と一庶民の娘”ではいられなくなるのだと、

どこかで分かっていた。

それでも、構わなかった。

だって、私は――彼を愛しているから。

そしてまたアシュレイの使用人が、私の部屋を訪れた。

「アシュレイ殿下より、部屋のご移動を仰せつかっております。」

「えっ?どこへ?」

私は慌てて身支度を整える。案内された先は、小さな部屋だった――けれど、重厚なカーテンに繊細な刺繍の絨毯、ふかふかの大きなベッド。
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