第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
使用人は無表情のまま静かに告げた。

「かつて、側妃の部屋として使用されていた部屋です。」

側妃――。

それは、正式な妃ではないけれど、王に選ばれた“愛人”のこと。

戸惑いが胸をよぎる。

「リリアーナ様には、この部屋でアシュレイ殿下をお迎えしていただきます。」

部屋の奥に目をやると、クローゼットの扉が半開きになっていた。

中には、控えめだけれど上質な刺繍が施されたドレスが何着も並んでいる。

気品がありながら、どこか私らしさを感じる色や形――。

「アシュレイ殿下よりの贈り物です。」

使用人の声が、そっと耳に届く。

私は静かにドレスに触れた。

指先に伝わる滑らかな布の感触。

アシュレイが、私のために選んだもの……?

「アシュレイ……」

彼の名をつぶやいた唇が、少しだけ震えた。

この部屋は、私だけのための“特別”なのかもしれない。
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