第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
そして、ドレスの裾を揺らしながら廊下を歩いていると――

その向こうからカトリーナ妃が現れた。

正妃としての威厳を纏いながら、堂々と歩いてくる姿。

私は足を止め、深く頭を下げた。

「カトリーナ様。」

無視するわけにはいかない。

彼女は正妃で、私は――側妃。

それなのに、カトリーナ妃は私の挨拶に答えず、じっとこちらを見つめた。

そして、私の着ているドレスの裾に手を伸ばす。

「……本当だったのね。」

小さくつぶやいたその声は、どこか怒りとも悔しさともつかない感情を孕んでいた。

「えっ……?」

戸惑う私に、彼女は笑うでもなく、ただ冷たく言い放った。

「でも、調子に乗らないでよね。」

「……?」

「どうあがいても、あなたは“妃”にはなれないのだから。」

彼女の目はまっすぐに私を射抜いていた。

私は口を閉ざしたまま、小さく頭を下げた。

――それでもいい。

私は、愛された。
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