第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
もやもやした気持ちを払拭するように、私は久しぶりにズボンに履き替えた。

胸元までしっかりと留めたシャツ。髪も結い直し、騎士の訓練場へと向かう。

木剣の音、かけ声。懐かしい感覚が、心を落ち着かせてくれる。

「リリアーナ!」

声を上げて走ってきたのは、ルークだった。

その表情は、まるで戦場で負傷兵を見つけたかのように切迫していた。

「聞いた……! アシュレイ殿下の愛人になったって……!」

その声に、訓練していた騎士たちの視線が一斉にこちらに集まる。

ざわめき、囁き声があちこちで広がっていくのが分かる。

私は、ルークの前に立ち、ゆっくりと手を伸ばした。

そして、彼の手をそっと握った。

「ううん。違うの。私が……自分の意思で、側妃になったの。」

その一言で、ルークの動きが止まった。

「リリアーナ……」

「誰かに命じられたんじゃない。流されたんじゃない。私が、アシュレイを選んだの。」
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