野いちご源氏物語 三〇 藤袴(ふじばかま)
どうお思いになったのか、姫君(ひめぎみ)は宮(みや)様にだけはお返事をお書きになった。
「自分から光の方を向く葵(あおい)でさえ霜(しも)が消えるのはつらがります。まして私は自(みずか)ら望んで帝(みかど)の光を浴びるわけではございませんから、宮様のことは大切な思い出にいたしましょう」
ほんの短いお返事でも宮様はめずらしいとおよろこびになった。
今さらではあるけれど、ご自分のお気持ちが伝わっていたことをうれしくお思いになる。
こんなふうにいろいろなところから恨(うら)み言(ごと)のお手紙が届いているの。
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