野いちご源氏物語 三〇 藤袴(ふじばかま)
玉葛の姫君に求婚していらっしゃる右大将様は、内大臣様のご長男の上司でいらっしゃる。
ご長男を頻繁にお呼びになって、姫君とのご結婚についてご相談なさるの。
内大臣様にもご長男からうまく伝えてほしいと頼んでいらっしゃる。
それをお聞きになっても、内大臣様ははっきりしたことをおっしゃらない。
<人柄も立派で、東宮様の伯父君なのだから将来の出世は間違いない人だ。しかし源氏の君が姫を尚侍にするとお決めになった以上、私が口を出すことはできない。どうせ姫はすでに源氏の君のお手がついているのであろう>
結婚させるかどうかは源氏の君にお任せになっているの。
右大将様は東宮様をお生みになった女御様の兄君でいらっしゃるから、帝は源氏の君や内大臣様の次に大切になさっている。
お年は三十二、三歳でいらっしゃる。
ご正妻は紫の上の腹違いの姉君で、式部卿の宮様のご長女よ。
ご正妻の方が三つか四つお年上なのはめずらしいことでもないけれど、お人柄に問題があるのかしら、右大将様はご正妻を「おばあ様」と呼んで嫌っていらっしゃるの。
<どうにかして離婚したい>とお思いになっている。
<面倒な家庭の事情がある相手と結婚させるのは気の毒だ>
源氏の君は右大将様と姫君のご結婚に反対しておられる。
右大将様は堅物な方なのだけれど、玉葛の姫君には夢中になって、必死に結婚する方法を考えていらっしゃる。
内大臣様のご長男はひそかに右大将様のお味方みたい。
「父君はご結婚にそれほど反対でもなく、姉君は宮仕えに乗り気ではいらっしゃいません」
なんてお伝えになったものだから、右大将様はますます自信をおつけになる。
「源氏の君だけが反対なさっているのだ。本当の父君が賛成なさっているならよいではないか」
姫君の女房を責めて、お手紙を押しつける。
ご長男を頻繁にお呼びになって、姫君とのご結婚についてご相談なさるの。
内大臣様にもご長男からうまく伝えてほしいと頼んでいらっしゃる。
それをお聞きになっても、内大臣様ははっきりしたことをおっしゃらない。
<人柄も立派で、東宮様の伯父君なのだから将来の出世は間違いない人だ。しかし源氏の君が姫を尚侍にするとお決めになった以上、私が口を出すことはできない。どうせ姫はすでに源氏の君のお手がついているのであろう>
結婚させるかどうかは源氏の君にお任せになっているの。
右大将様は東宮様をお生みになった女御様の兄君でいらっしゃるから、帝は源氏の君や内大臣様の次に大切になさっている。
お年は三十二、三歳でいらっしゃる。
ご正妻は紫の上の腹違いの姉君で、式部卿の宮様のご長女よ。
ご正妻の方が三つか四つお年上なのはめずらしいことでもないけれど、お人柄に問題があるのかしら、右大将様はご正妻を「おばあ様」と呼んで嫌っていらっしゃるの。
<どうにかして離婚したい>とお思いになっている。
<面倒な家庭の事情がある相手と結婚させるのは気の毒だ>
源氏の君は右大将様と姫君のご結婚に反対しておられる。
右大将様は堅物な方なのだけれど、玉葛の姫君には夢中になって、必死に結婚する方法を考えていらっしゃる。
内大臣様のご長男はひそかに右大将様のお味方みたい。
「父君はご結婚にそれほど反対でもなく、姉君は宮仕えに乗り気ではいらっしゃいません」
なんてお伝えになったものだから、右大将様はますます自信をおつけになる。
「源氏の君だけが反対なさっているのだ。本当の父君が賛成なさっているならよいではないか」
姫君の女房を責めて、お手紙を押しつける。