彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)
雨が降る中を1人で歩き続ける。
―凛♪―
気づけば、『Felicita(フェリチータ)』の前まで来ていた。
「ははは・・・なんで・・・?」
無我夢中で適当に走っていたつもりが、無意識のうちに瑞希お兄ちゃんの家の方角へと進んでいたらしい。
「・・・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・・・・」
(絶対・・・瑞希お兄ちゃんに嫌われた・・・)
そんな思いで、雨が降る中、『Felicita(フェリチータ)』の前で立ち尽くす。
「凛っ!!!」
ブロロロロン!!
名前を呼ばれる。
うつろな目で、声がした方を見れば――――――――――
「何やってんだよ!!?」
「瑞希お兄ちゃん・・・・?」
バイクのヘッドライトに照らされる真田瑞希様がいた。
ヘッドライトは、瑞希お兄ちゃんの愛車から発せられており、道のど真ん中に止められていた。
「凛!!」
自分の単車を置き去りにする瑞希お兄ちゃん。
この世で一番愛する人が、自分の方へと駆け寄ってきていた。
「オメーこの馬鹿!単車壊すのはいいけど、丸投げにして失踪すんなよな!?心配しただろう!?」
「心配・・・・してくれたのですか・・・・?」
「当たり前だ!!凛が大切だからこそ、心配するわ!!」
「僕は・・・円城寺君に八つ当たりをしたのですよ?」
「知ってる!だから二度とすんなって言ってんだよ!!」
「僕は!!僕だって!!好きで八つ当たりしたわけじゃない!!」
「凛?」
「僕は!!まじめに勉強して!!親の言いつけも守って!!両親がケンカしないように気を使ってきた!!やりたいことを我慢しているうちに、なにがやりたかったのかもわからなくなって!!それでも、迷惑かけないように生きてきた!!ましてや、いじめなんて――――――――!!」
「いじめ・・・?」
「ぼ、僕は!!いじめなんてしてない!!いじめてない!!いじめてないのに!!」
「凛、それは――――――!」
「いじめなんてしてないのに!!それなのに信じてくれない!!信じてくれないどころか、僕がいじめの加害者だってみんなが罪をかぶせてきた!!僕は無実なのに!!」
「凛・・・誰がそう言ってるんだ?」
「お父さんとお母さんに言ったんだよ!?いじめっ子を僕がいじめられてたって!!いじめっ子が被害者で、僕が加害者なんだって!!違うって言ったのに!!僕がいじめの被害者だって何度も言ったのに―――――――!!」
それなのにあの両親は――――――
「信じてくれなかった!!」
私が悪いと決めつけた。