全部、俺のものになるまで
「おまえ、家は?」

「うーん……」

正直、ここがどこかもよく分からなかった。酔いが回って、頭がぼんやりしている。

「……俺の家、来るか?」

一瞬迷ったけれど、うんと頷いた。このまま瀬戸課長と一緒にいたかった。

ただ、それだけの気持ちだった。

案内されたのは、高層マンションの一室。

広々としたリビングの奥に、ちらりと寝室が見える。

なぜかその景色が恥ずかしくて、思わず目を逸らした。

「ほら、水。飲め。」

差し出されたグラスを両手で受け取り、ゴクゴクと飲む。

でも、落ち着こうとしても、課長の優しさに胸がざわめいて、逆に心が落ち着かない。

「課長ぉ……」

気づけば、その背中にそっと腕を回していた。

体温が伝わる距離。こんなこと、酔った勢いだとわかっていても、離れたくなかった。
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