全部、俺のものになるまで
──どうして?

私はただの社員なのに。

特別じゃない。

仕事ができるわけでも、目立つ存在でもない。

「でも……」

言葉が途切れる。

心が、揺れている。

そんな私の耳元で、彼は続けた。

「君しかいない。……俺を受け入れてくれ。」

その一言に、心が大きく揺さぶられた。

──本当は、私の方こそ。

ずっと、社長が欲しかった。

あの夜以来、何度も社長室の前を通ってしまった。

もう一度だけ、名前を呼ばれたかった。

もう一度だけ、抱かれたかった。

だけど、言えなかった。

欲しいなんて、思ってはいけないと思っていたから。

……でも今、彼の口から“君しかいない”と言われた瞬間、すべてが溶けていった。

「……社長の、愛が欲しい」

囁いた瞬間、彼の瞳に火が灯る。

「ああ……咲……」

次の瞬間、社長は激しく腰を打ちつけてきた。

彼のすべてが、私の奥へと深く深く入り込んでくる。
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