全部、俺のものになるまで
しばらくして、会社の飲み会が開かれた。

部署合同の歓迎会。人が多くて、ざわついた空気。

相馬課長は、同じテーブルの真向かい。

周囲の社員たちと笑いながら、気さくに談笑していた。

その姿を、私はただ見ていることしかできなかった。

“私の恋人”のふりをしてくれている人。

でも本当は、何の関係もない。

見ているだけで、胸がきゅっと締めつけられる。

……こんな時は、飲んだ方がいい。

甘いカクテルを頼んで、気を紛らわせた。

その一杯で止めておけばよかったのに。

二杯、三杯、四杯……気づけば、グラスの数を数える余裕もなくなっていた。

帰る頃には、千鳥足だった。

視界が揺れる。

床がふわふわする。

もう自分の足で歩くのもままならない。

「……ほら、行くぞ。」

その腕を支えてくれたのは、相馬課長だった。

「……あ、課長……?」

「あんなに飲むなんてバカだな。タクシーだ。乗って。」

ぐいっと腕を引かれて車に乗せられる。

気づけば、タクシーの車内。

隣の席に、相馬課長。

周囲のざわめきも、他の誰の声もしない。

──いつの間にか、私たちはふたりきりになっていた。
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