全部、俺のものになるまで
それだけ言って、彼女は再びモップを動かし始めた。

私の中で、何かが溶けていくのがわかった。

ずっと不安だった。

遊びだったらどうしようって、ひとりで苦しんでた。

でも──

もしかしたら、課長はずっと、

最初から、ちゃんと私を見てくれていたのかもしれない。

掃除の人の言葉を聞いたあと、私は急いで課長のもとへ向かった。

でも、デスクにはもう彼の姿はなかった。

「相馬課長なら、さっき帰られましたよ。」

そう聞いた瞬間、私は駆け出していた。

会社の駐車場へと向かう。

胸の中の言葉が、どうしても今日、伝えたかった。

──もう、ふりなんてしたくない。

走り込んだ先に、ちょうどエンジンをかけようとしていた課長の車があった。

「どうした? 水原。」

車の窓が開いて、彼が少し驚いた顔で言った。

「……お話があります。」

私は小さく息を切らしながらそう告げる。
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