全部、俺のものになるまで

【3】ホテルのエレベーターで

その日は出版の打ち合わせで、ホテルのロビーに来ていた。

「では、来月から執筆を開始していただけるということで、よろしいですね?」

「はい。」

目の前に座る奥田先生は、人気作家だ。

何度もお願いを重ね、ようやく新連載の承諾を得た。

今日はその初打ち合わせ。

緊張しながらも、ようやくここまで辿り着いた達成感が胸を満たしていた。

「いやあ、奥田先生に連載していただけるなんて、うちの編集部も本当に光栄です。」

そう口にすると、先生は少し笑い、目の前のカップに手を伸ばす。

「そんなふうに言ってもらえるのは、ありがたいですね。」

コーヒーを一口すすり、ふっと息を吐いたその仕草に、私は密かに肩の力を抜いた。

打ち合わせは順調に進んでいた。

「では、書き出しが決まったら教えてください。」

「分かりました。ご連絡は、早瀬さん宛てでよろしいですか?」

「はい。」
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