全部、俺のものになるまで
シャツのボタンが外されていく。露わになる肌に、先生の唇が触れた。

吸い上げられるような熱に、体が勝手に反応してしまう。

「君の全部、俺にちょうだい」

その声は低く甘く、抗うことのできない大人の男の色香を帯びていた――。

翌日は、しとしとと雨が降っていた。

窓の外を眺めながら、私は奥田先生のぬくもりを思い出していた。

あの腕の強さ、口づけの深さ……そして、あの囁き。

「結婚か……」

ぽつりと呟く。昨夜、先生は真顔でそう言った。

まだ実感なんてなかったけれど、彼が本気だったのはわかる。

私のことを、手に入れようとしている。その強引さも、嫌いじゃなかった。

でも。

結婚なんて、簡単に決めていいものだろうか。

私は、陽翔のことを――本当に忘れられたの?

ソファの上で膝を抱えながら、私はふうっとため息を吐いた。

幸せになりたい。

奥田先生なら、私を守ってくれる。たぶん、ちゃんと愛してくれる。

だけど――
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