全部、俺のものになるまで
「起きようか?」

「うん。」

重なるシーツから身を起こす。裸の背中に冷たい空気が触れて、急いで服を手に取った。

互いに気まずさもなく、穏やかに、自然に服を着ていく。

まるで――何度もこうしてきた恋人同士のように。

着替えを終えたところで、陽翔がふと口を開いた。

「また会おう。」

そう言った陽翔は、ほんの少し視線を逸らしていた。

でも、次の瞬間、まっすぐ私を見つめ返してくる。

「俺達、ちゃんと付き合おう。」

……え?

思わず言葉が詰まった。

胸の奥で、何かが熱くふるえる。

「……ほんとに?」

ようやく絞り出した声は、震えていた。

陽翔は私の手を握って、小さく頷いた。

「うん。俺、本気だから。」

そのまっすぐな瞳を見ていたら、堪えていたものがこぼれそうになる。

「……ずるいよ、そんなの……」

声にならない想いが、涙となって頬をつたう。

「ゆかさん?」

「……嬉しいの。」

笑おうとしたけれど、涙が止まらなかった。

陽翔は黙って、そっと私を抱きしめてくれた。

「ありがとう……陽翔。」

私の頬に触れる手が、あたたかかった。
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