全部、俺のものになるまで

【4】指先だけで、崩されて

私、雨宮奈々には、小学校からの幼馴染がいる。

朝倉 湊(あさくら・みなと)。

物心ついたときから、ずっと一緒にいてくれた存在。

隣にいるだけで、理由もなく安心できる。

そんな湊が、最近めっきり男っぽくなった。

背が高くなって、声も低くて、仕草のひとつひとつにドキッとする。

大学は別々になったけれど、たまに会えば昔のままだと思ってた。

でも、今の彼を見てると、どこか遠くに行ってしまったような気がして、

思わず聞いてしまった。

「ねえ、湊。……彼女できた?」

その言葉に、彼の手が止まり、ゆっくりと顔を上げた。

まっすぐな視線に射抜かれる。

「好きな人ならいるけど。」

一拍置いて返ってきたその言葉に、胸がきゅっと締めつけられる。

「そう……」

おいてけぼりにされたみたいだ。

昔のように笑って返せない自分が、少しだけ悔しかった。
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