全部、俺のものになるまで
ある日、湊とふたりで、高校の時によく通っていた神社を訪れた。

境内は静かで、少し冷たい風が、鈴の音とともに吹き抜けていく。

あの頃と同じ風景なのに、となりにいる湊が、やけに大人びて見えた。

私は、そっと手を合わせる。

(恋人が、できますように――)

声には出さず、心の中でそう願った。

すると、隣で柏手を打ち終えた湊が、ぽつりとつぶやいた。

「その願い、俺が叶えてやろうか。」

「えっ?」

一瞬、意味が飲み込めず、湊の方を見上げると、彼は静かに私の両手を取った。

手のひらから伝わる体温に、胸が高鳴る。

「俺、おまえのことが好きだ。」

その言葉は、まっすぐで、迷いのない声だった。

思わず、右手で口を塞ぐ。

信じられない。でも、嬉しい。心の奥が、じんわりと熱くなる。

「彼女になってほしい。」

私は、何も言えずに、ただ力いっぱい頷いた。

顔が熱くて、目の奥がじんわりして――

きっと、あの瞬間から、私の世界は変わりはじめたんだ。
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