全部、俺のものになるまで
神社からの帰り道、私たちは並んで、あの長い石段を降りていた。

夕暮れの風が、木々を揺らし、葉のざわめきが静かに耳に届く。

まさか、自分が湊と両想いだったなんて――そんな奇跡、想像すらできなかった。

ふと、湊が立ち止まった。

「……手、つないでいい?」

照れたように差し出された右手。

私は、少しだけ迷ってから、そっと自分の手を重ねた。

指先が触れ合った瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられる。

(あったかい……)

好きな人の手って、こんなにドキドキするものなんだ。

「私たち……付き合うんだよね?」

思わず、ぽつりと呟いた声。

隣で歩き出した湊が、少し笑いながら返す。

「ああ。逃げんなよ?ちゃんと付き合えよ。」

「……うん。」

私は小さく頷いた。

階段を一段、また一段と降りていくたびに、湊の手の温もりが、私の中にしっかりと染み込んでいった。
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