全部、俺のものになるまで
湊といると、心が安心して、体まで素直になる。

「抑えなくていいよ……湊なら、怖くない。」

その言葉を聞いた瞬間、湊の瞳に静かな火が灯った。

肩に添えられていた手が私の首筋へと移動し、親指がそっと唇をなぞる。

「キスしていい?」

その声に、心臓が跳ねた。

私はゆっくりと目を閉じた。

まぶたの裏で、湊の輪郭だけが静かに浮かび上がる。

頬にかかる風が、夏の終わりを告げている。

その中で、すっと近づく気配。

そして、唇がそっと触れ合った。

やわらかい――

ただそれだけの感触なのに、息が止まりそうになる。

「んん……」

かすかに漏れた声とともに、体の奥からじんわりと熱が広がっていく。

心も体も、湊にほどけていくようだった。

こんなにもキスって優しいんだ。

こんなにも、心を溶かしていくものなんだ。

湊の手が、私の頬に触れる。
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