全部、俺のものになるまで
その温もりが、さらにキスを深くしていく。

唇を少しだけ離したとき、湊の瞳がすぐ近くにあった。

潤んだままの目で、私は見上げる。

「……可愛すぎる。」

その一言に、鼓動が跳ねる。

そしてもう一度、彼の唇が重なった。

今度は、少し深く。

気持ちごと、溶けていくみたいに。

「湊……」

思わず、名前がこぼれた。切なさと愛しさが、胸いっぱいに広がっていく。

その声に応えるように、湊が優しく囁く。

「奈々、首傾けて……」

その言葉だけで、体がかすかに震える。

言われるまま、そっと首を傾けると──

ふたたび湊の唇が重なった。

今度は角度を変えて、深く、柔らかく。

まるで味わうように、何度も何度も。

「ん……」

くちづけの合間に、吐息が漏れる。

キスって、こんなに甘いんだ。

触れるたびに、心の奥が溶けていくみたい。

目を閉じたまま、私は思った。
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