全部、俺のものになるまで
ファーストキスは、湊でよかった。

湊の手が、頬から髪へと滑り、そっと私を引き寄せる。

鼓動が重なり合って、キスも熱を帯びていく。

「……奈々、俺、もう止まれないかも。」

低く掠れた声が、耳元に落ちてきた。

「うん。」

そう小さく返した瞬間、湊の唇がもう一度重なる。今度は、舌先がそっと私の唇の隙間に触れてきた。

「んんんっ……!」

驚きと戸惑いに、体が小さく震える。

ビクッと肩が跳ねるのを、湊も感じたのだろう。

「ごめん!」

すぐに体が離れて、湊が真っ赤な顔で謝ってくる。

「ファーストキスで、ディープなんてやり過ぎだった。ほんと、ごめん……」

必死に目を逸らして、動揺を隠そうとするその姿に、私は不思議な気持ちになった。

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

湊の視線を追って、私はそっと彼の胸元に顔をうずめる。

「……嫌じゃなかったよ。」
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