全部、俺のものになるまで
──そして、物語はそのままベッドシーンへ。

「うそっ……」

スクリーンの中、彼と彼女は激しく求め合い、吐息が交錯する。

こんなにも生々しく、熱を帯びたシーンを観るのは初めてだった。

心臓が早鐘のように鳴る。

どうしていいか分からず、視線を逸らしかけた、その時だった。

「大丈夫?」

隣から、湊の優しい声が聞こえた。

私は慌てて彼の方に顔を向けて、小さく笑う。

「うん。……びっくりしただけ。」

湊は、ふっと目を細めて微笑んだ。

その仕草が、妙に大人びて見えて、私はまた心臓が跳ねるのを感じた。

「ああいうの、嫌い?」

映画が終わっても、エンドロールを眺めながら、私はそっと湊に尋ねた。

湊はまっすぐに私を見つめる。

「……嫌いじゃないけれど。」

その言葉に、胸が少し熱くなる。

「俺たちも――あんなふうに、愛し合わない?」
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