全部、俺のものになるまで
私は再び、スクリーンへ目を移した。

静かに流れるラストシーン、主人公たちが抱き合い、額を寄せ合っている。

肌と肌が触れ合い、心が通う。

あんなふうに、体全部で想いを伝えられるなんて。

「……なれるかな、私たちも。」

ぽつりと呟いた私の耳元に、湊の声が落ちてきた。

「今夜、俺の家に泊まりに来ない?」

耳朶をかすめた低い声に、体がぞくりと震えた。

私の返事は、小さく、けれど確かに湊へ届いていた――。

レストランでご飯を食べたあと、私たちは湊の部屋へ向かった。

シンプルな家具の配置に、どこか落ち着いた色合い。

物は少なくて、だけど整えられている。まるで湊そのもののような空間だった。

「シャワー、浴びる?」

湊がそう聞いてきて、私は小さく頷いた。「うん。借りるね」

差し出されたバスタオルは、柔らかくて、湊の香りがした。

浴室で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
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