全部、俺のものになるまで
その日、夕暮れの空を見上げながら、私たちは並んでスーパーに向かった。

「今夜のおかずは……」

私はカゴを持ったまま、野菜コーナーを歩く。

ふと見ると、キャベツがとても安くなっていた。

「回鍋肉にする?キャベツこんなに安いなんて知らなかった。」

そう湊に言うと、彼は迷いなく一個のキャベツを手に取った。

「これはね、形の悪い野菜を扱ってるんだ。見た目が悪いってだけで捨てられちゃうことが多いから。なるべく廃棄を減らしたいって、オーナーの意向でね。」

湊が当たり前のようにそう言うのを聞いて、胸がじんと熱くなった。

こういうところが好きなんだ。

見えないところで、ちゃんと優しい。誰かのためを自然に思える人。

キャベツをカゴに入れた湊が、ふと私の方を見て微笑む。

「帰ったら、一緒に作ろう。」

「うん。」

私は笑って頷いた。

ただの夕飯の買い出しなのに、こんなに幸せを感じられるなんて。

これからも、きっとこうやって、湊と肩を並べて、日々を選んでいくのだろう。

回鍋肉の味よりも、今日のこの瞬間が、何よりも心に残っていく気がした。

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