全部、俺のものになるまで
大学から帰ると、リビングのベランダに和臣さんの姿が見えた。

洗濯物を取り込んでいるところだった。

「お帰り。」

そう言って振り向いた彼の手に――私のパンツが握られていた。

「うわっ!」

思わず叫んで、慌てて駆け寄り、その手から奪い取る。

「見ないでっ!」

「いや、そう言っても……他にも……」

そう言う和臣さんの後ろに、私の下着が無造作に重ねられているのが見えて、顔から火が出そうになった。

私は半ば奪い取るようにして、目に付く限りの下着を取り上げて、背中を向けた。

「ちゃんと仕分けてるだけだってば。」

和臣さんが困ったように笑う声が背後から聞こえる。

「……あのさ、心音。」

背中越しに、和臣さんの声が落ち着いたトーンで響いた。

「俺、この歳で娘のパンツに欲情する男になりたくないって。」

「うん。」

ずるい。そんな時だけ父親面して。
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