全部、俺のものになるまで
食事が終わると、私は食器を片付けようと立ち上がった。

けれど、その背中にそっと腕が回される。

「和臣さん……?」

「……心音。」

低くて優しい声。

そのまま、背後から抱きしめられた。

「俺たちの関係、ちゃんと考えるよ。なんとかする。」

「なんとかって……どうするの?」

少しだけ身体を離して、振り返ると、和臣さんは真剣な目で私を見つめていた。

「悲しいことだけど……お母さんとの籍、抜こうと思う。」

その言葉に、胸がざわついた。

「それって……和臣さん、私の義父じゃなくなるってこと……?」

私は不安にかられて、思わず彼のシャツを握った。

すると、和臣さんは私の手をそっと包み込んでくれた。

「でも、心配するな。俺は心音のそばにいる。一生、離れない。」

そして、額に、頬に、唇に――優しく確かめるようなキスをくれた。

「和臣さん……」

そのキスの温度が、私の迷いをとかしていく。

たとえ何があっても、この人と生きていく。そう思えた。

< 99 / 105 >

この作品をシェア

pagetop