かりそめ婚は突然に 〜摩天楼Love Story〜
前を歩くティムの広い背中が目に入る。わたしに彼のような人類愛はあるだろうか。
言葉も倫理観も常識も通じなくても、そんな全てをひっくるめてティムは人間そのものに深い愛情を持っている。
人と触れ合うことが大好きで、楽しくて面白くてしょうがないといった様子だ。
ティムほどの強靭でしなやかな精神力はないし、透さんのような高いレベルの知力・気力・体力もないけど。
櫂さんのように、知性と感性の両輪を備えて好奇心を推進力に、優雅に世間を渡っていくことはできなくても。
誰もがこの地球に暮らしていて、寝て起きて食事をしているのだと、ニューヨークを歩きながら、その事実がぽんと胸に迫ってきたのだ。
そうだ、そうしてわたしもそんな地球に暮らす市民の一人なのだ。
「次に会うときは、僕もサホみたいな素敵なワイフを連れてきたいものだな」
別れ際タクシーに乗り込む前に、一人一人と握手とハグをして、そんなことを口にするティムをみんなで見送った。
「…あんなに世界中を飛び回ってたら、結婚は難しいだろうなあ」
「兄貴はちゃっかり結婚したじゃん」
「俺は拠点がちゃんとあるぞ」
「そういうことじゃなくってさー」
兄弟の軽口もなんだか楽しい。
言葉も倫理観も常識も通じなくても、そんな全てをひっくるめてティムは人間そのものに深い愛情を持っている。
人と触れ合うことが大好きで、楽しくて面白くてしょうがないといった様子だ。
ティムほどの強靭でしなやかな精神力はないし、透さんのような高いレベルの知力・気力・体力もないけど。
櫂さんのように、知性と感性の両輪を備えて好奇心を推進力に、優雅に世間を渡っていくことはできなくても。
誰もがこの地球に暮らしていて、寝て起きて食事をしているのだと、ニューヨークを歩きながら、その事実がぽんと胸に迫ってきたのだ。
そうだ、そうしてわたしもそんな地球に暮らす市民の一人なのだ。
「次に会うときは、僕もサホみたいな素敵なワイフを連れてきたいものだな」
別れ際タクシーに乗り込む前に、一人一人と握手とハグをして、そんなことを口にするティムをみんなで見送った。
「…あんなに世界中を飛び回ってたら、結婚は難しいだろうなあ」
「兄貴はちゃっかり結婚したじゃん」
「俺は拠点がちゃんとあるぞ」
「そういうことじゃなくってさー」
兄弟の軽口もなんだか楽しい。