推しに告白(嘘)されまして。

2.やる気になる条件





*****



昨日のあれは何だったんだ。

朝、校門の前で委員会活動中。
私はそんなことを思いながらも、いつものように…いや、いつも以上に生徒たちに目を光らせていた。

何故、いつも以上にそうしているのか。
それは今日から2週間の文化祭準備期間に入るからだ。

我が校の文化祭は規模が大きく、準備期間からかなり盛り上がる。その為、浮ついてしまい、つい校則を破る生徒が急増するのだ。
そこを正すのが、風紀委員の仕事だった。
そして文化祭準備期間から文化祭まで、風紀委員にはもう一つ別の仕事があった。

そのもう一つの仕事とは、採点だ。
文化祭期間中、私たち風紀委員は、どこにも属さない中立の立場となり、生徒たちの行動などに合わせて、採点を行う。
例えば、校則を守らない生徒がいた場合は、その生徒が所属するクラスから違反ごとにマイナス一点、人助けをした場合は、同じくそのクラスにプラス一点。
ーーーと、前もって決められたルールに則り、私たちが得点をつけていくのだ。
その点数は文化祭終了まで持ち越され、最優秀賞を決める際にも当然、響くものとなっていた。

我が校の文化祭では、舞台部門、出し物部門、部活部門の三部門で優劣を決める。
その優劣の決め方が、文化祭中に行われる人気投票だ。

人気投票による得点+風紀委員による得点。
この二つを生徒会が最終的に集計し、結果が決まる。
もし、生活態度が悪く、校則違反をしまくる生徒が多く所属するクラスなら、例え、人気投票で支持を得たとしても、風紀委員による得点により、最優秀賞にはなれない…というシステムだった。その逆ももちろんある。

ちなみにこの三部門の最優秀賞のクラスまたは、部活の生徒には、学食が3月末までただと言う特典があり、皆その特典欲しさに気合いが入っていた。

それからこの秋、文化祭前に決まった大きなことがもう一つある。
それは各委員の新たな委員長だ。
委員長は基本的にその時、その委員会に所属していた生徒から決められる。
投票や現委員長による抜擢、話し合いなど、各委員によって、決め方は自由だ。
私は去年、当時現委員長だった三年生の先輩にこの時抜擢され、風紀委員会委員長となった。

委員は基本、各クラスから男女1名ずつ、一年務める。
当然、一年の秋から風紀委員長だった私は、2年になった時も変わらず、風紀委員に立候補した。
まあ、風紀委員長という立場でなくとも、風紀委員には立候補したが。

今回の風紀委員会の委員長決めでは、私を中心に風紀委員全員で話し合い、結果私が引き続き風紀委員長を務めることとなった。
満場一致でそうなった。

うちの委員は私が委員長を継続しているので、あまり変わらないが、他の委員会は違う。
新しい委員長になり、最初の行事が文化祭なのだ。
各委員会委員長はここが腕の見せ所だと、それぞれが気合いを入れていた。
まるで去年の私のように。


< 122 / 313 >

この作品をシェア

pagetop